各国からの祝辞が折り重なる厳かな式典は滞りなく進み、
やがて和やかなパーティーへと移っていった。
管弦楽器の軽やかな旋律と、
降り注ぐあたたかな陽の光。
祝福の空気をそのままに世界の縮図のあちらこちらは、
国と国が近づき友好を深める場、
国を越えて人としての関係を深める場、
そして再会の場となった。
「おめでとう!!」
重なり合った懐かしい声がキラとラクスをふわりと包む。
「キラー!!ラクスー!!」
カガリは2人に飛び込み、抱きしめた。
「おめでとうっ。」
その目は涙ぐんでいる。
「もー、カガリ・ダイブしないのっ。」
くすくす笑いながらミリアリアがたしなめた。
「おめでとう、キラ君、ラクスさん。」
マリューは大切そうにお腹に手をあて、
「幸せになれよ、2人とも。」
ムウは優しくマリューを支えている。
「ありがとう、みんな。」
キラの言葉に、
「こんなに沢山の方から祝福していただいて、
本当に幸せに思います。」
と、ラクスが寄り添った。
「キラとラクスって、マリューさんとムウさんと会うのは、
お2人の結婚式以来?」
ミリアリアの言葉に、
「えぇ、そうですわ。」
ラクスは目を細めてマシューの手元に目を向けた。
「ふふ、そうなの。」
「家族が1人増えるんだ。」
ムウは幸福そうにマリューの肩を抱いた。
「そうだったんですか。おめでとうございます。」
「ありがとう、キラ君、ラクスさん。」
マリューもまた幸福そうに微笑む。
「いつ、お生まれになるのですか?」
「あと3ヶ月くらいだ。家族ができるって最っ高だよ。」
ムーはマリューの頬にキスをした。
「もうっ、ムーったら。」
ムーとマリューの瞳には、家庭というあたたかさが燈っていた。
「ミリアリアさんとはウイングでお会いしましたわね。」
「そうなの、半年前に会ったのよ。
私もオーブへ戻ってくるのは結婚式以来。」
ミリアリアはアークエンジェルの寄贈を機にEPU本部があるコロニー・ウイングへ渡った。
2度の戦争でアークエンジェルのオペレーターを務めたキャリアが評価されてのことであった。
「カガリとこうして会うのも久しぶりだね。」
久しぶりに会ったキラが、カガリにはどこか大人びて見えた。
「本当だな。いつも会談の合間をぬってでしか会えなかったから。」
カガリはキラとラクスに申し訳なさそうな顔をし、
チロリと舌を出した。
キラとラクスはカガリの横に目を向けた。
カガリの隣にいるのは、
アスランではない。
背の高い、鳶色の目をした青年だった。