照明の中に浮かび上がったビームライフルは、
不気味な光を放っていた。
ディアッカとイザークの眼光が変わる。
ある確信を確かめるように、
その糸を辿る。
カガリは腕を組んだまま動かないムウを見た。
「ムウは知っているのか?これ。」
「まぁ、俺はこっちの方専門じゃぁ無いからな。」
ムウは軽く言葉を結んだ。
だが状況は深刻であることを、
イザークとディアッカの目の色の変容から読み取っていた。
――あいつが、あんな顔ねぇ。
ここにあっちゃ、まずいシロモノか?
おそらくザフトの・・・。
ムウとカガリの対角の位置に来たところで、
イザークとディアッカはアスランの足を止めた。
「貴様、いつ気付いた。」
――やはり・・・か。
戦友の瞳はアスランに答えを示した。
「感づいたのは、発砲直前の光を見た時だ。
特徴的な発光をするからな、これは。」
アスランは再び横たわる兵器へ視線を戻した。
「だからこれを見せたって訳、か。」
ディアッカも視線をそらさない。
「あぁ。俺はザフトを離れて以降、
これがどう処理されているのか知らないし、
それにディアッカの方が詳しいだろう。」
ディアッカは中長距離射撃を得意とする戦闘スタイルから、
その腕と知識に長けていた。
「間違いない、これはP2グレンダ、
ピアニッシモだ。」
深い溜息を一つ入れると、
イザークはカガリの方へ歩を進めた。
イザークの潔い表情に、
カガリは不思議な安堵を覚えた。
「アスハ代表。このことについては、
明日、公式の報告の場までお待ちいただきたい。」
カガリの澄んだ目が真実を射抜き、
イザークの言葉もその背後にある何かも受け止める。
代表としての年月が真直ぐなカガリの瞳に、
受容性を帯びさせた。
「わかった。」
カガリはそう返事をすると、
ムウとアスランを代わる代わる見て
「いいよなっ。」
と、呼びかけた。
2人は頷いた。
「あいがとうございます。」
カガリは戦友の深い絆の理由を垣間見た気がした。
――こいつには、護りたいものがあるんだな。
そこに誠実だ。
あいつらも。
ムウは早々に2人を開放する方が良いと、
感覚的に感じ取っていた。
「じゃぁ、今日はこれで終わりにしよう。」
ムウは常に周囲が気付かない程さりげなく、
その絶妙なタイミングでフォローを入れる。
――サンキュー、おっさん。
ディアッカは小さく頭を下げた。