1-2 羽を伸ばして




「ラクス様、本当に綺麗。」
ルナは頬に手をあて、
「やっぱり憧れるなぁ、お嫁さんになるの。」
メイリンはとろんとした目をして、
同時にうっとりと溜息を漏らした。
2人は向き合った顔でくすっと笑った。


ルナとメイリンはキラとラクス、
プラントからの列席者の警護が任務・・・ ではあるがそれは付随的なものであり、
正式な招待客としてレセプションに参加していた。
それは、ラクスの気遣いからであった。
任務に追われる日々の年頃の乙女たちは、
存分に羽を伸ばして楽しんだ。

ルナの黒いミニスカートのドレスは、
スラリと伸びた手足やスレンダーな体を際立たせ
メイリンのピンクのドレスからは豊かな胸がのぞき、
やわらかな曲線美を描いていた。
 その姿は会場に華を添えてた。



テラスから会場を見渡し、メイリンは口を尖らせた。
「でもいいよね、お姉ちゃんは。ちゃんと相手いるでしょ。私なんか・・・。」
「いるっていっても、シンはまだ子どもっぽいところあるし。
今は結婚なんて。」
「シンがお姉ちゃんの弟に見えることあるもん、時々。」
くすくす笑いながらメイリンがからかう。
「えー?もぅ。 でも、シンにはもうちょっと大人になってもらわないとっ。」
と、ルナはウェイターからグラスを受け取った。
「あ、お姉ちゃん、それお酒!」
「いいのっ。私達は正式な、招待客よっ!」
ツンとしたルナを見て
「う〜ん。」
メイリンは不安げな顔をした。

「今日は休暇だしっ♪」もう一押しとばかりのルナのウインクで、
「だよねっ。よーっし、私もっ♪」
メイリンもグラスを取った。

「キラとラクス様に。」
「私たちに。」
「乾杯!」

グラスを唇に近づけたその時、
ルナとメイリンの背後から声が飛んだ。
「貴様ら仕事しろ・・・っ!」
2人は目を合わせばつが悪そうに呟いた。
「隊長・・・。」
振り向いた先には直属の上司である特務隊隊長イザークとディアッカがいた。
「おい、ルナ。
シンは何処で何をやっているっ。」
不機嫌な顔から威圧的な重力が増す。
「はい、知りません探します失礼します。」
ルナは早々に切り上げると
「行こっ、メイリン。」
と目配せをした。
「あのっ、シンにも伝えますっ。」
後ろ向きになったメイリンが言い終える前に、
ルナはメイリンの腕を引っ張って行った。


テラスに残された、口も付けられていない2つのグラスを見て ディアッカは苦笑した。
「あんなにきつく言わなくても良かったんじゃねぇの?
あいつらにとっては久々の休暇なんだし。」
ふっと笑ってイザークはグラスを取った。
「これで飲めるだろう、今日は。
俺はワインに目がないんでね。」
やれやれ、とディアッカもグラスを取った。




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