1-1 世界からの祝福を




キラとラクスは重ね合わせた手を差し出し、
地球に、
宇宙に、
世界の人々に、
永久の愛を誓った。


抜けるような青空に響く拍手は、
世界からの祝福そのものだった。

「わたくしたち生命が誕生したのは、母なる地球です。」

ゆったりとしたラクスの言葉に、

「だからこの地球で世界に誓いたいと思います、
僕たちの愛を。」

寄り添うようにキラが続く。

一言一言、微笑みあいながら2人は言葉を紡ぐ。



キラとラクスの婚約レセプションを地球で執り行うことは
2人の強い希望によるものであり、
中立国であるオーブが開催国となった。
レセプションには、親族や親しい友人、仲間など
キラとラクスを愛する者はもちろんのこと、
各国の首相、政界・財界の要人、関係者等も数多く詰め掛けた。

まるで世界の縮図のような会場は、
ただ幸せに満ち溢れていた。

著名人の結婚、とりわけ政界・財界が絡む結婚には、
思惑や取引の影がちらつくものだ。
結婚を手段とし、その裏に別の目的が用意されていることは
今の世でも珍しいことではない。
それは結婚する当人にとっても、
列席者にとっても同じことだ。

しかし、
キラとラクスの結婚にはその影が微塵も感じられなかった。
2人が出会って5年を迎えようとしている。
寄り添いながら歩んできた月日が育んだ愛情の深さと確かさは、
誰の目にも映った。
世界中の人々の目に。

純粋な愛。
それは戦争によって疲弊し希望の芽を摘まれてきた世界にとって、
懐かしくあたたかい光であった。
光は確かにある。
信じることの源と、突き動かす力を示していた。




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