キラとラクスは重ね合わせた手を差し出し、
地球に、
宇宙に、
世界の人々に、
永久の愛を誓った。
抜けるような青空に響く拍手は、
世界からの祝福そのものだった。
「わたくしたち生命が誕生したのは、母なる地球です。」
ゆったりとしたラクスの言葉に、
「だからこの地球で世界に誓いたいと思います、
僕たちの愛を。」
寄り添うようにキラが続く。
一言一言、微笑みあいながら2人は言葉を紡ぐ。
キラとラクスの婚約レセプションを地球で執り行うことは
2人の強い希望によるものであり、
中立国であるオーブが開催国となった。
レセプションには、親族や親しい友人、仲間など
キラとラクスを愛する者はもちろんのこと、
各国の首相、政界・財界の要人、関係者等も数多く詰め掛けた。
まるで世界の縮図のような会場は、
ただ幸せに満ち溢れていた。
著名人の結婚、とりわけ政界・財界が絡む結婚には、
思惑や取引の影がちらつくものだ。
結婚を手段とし、その裏に別の目的が用意されていることは
今の世でも珍しいことではない。
それは結婚する当人にとっても、
列席者にとっても同じことだ。
しかし、
キラとラクスの結婚にはその影が微塵も感じられなかった。
2人が出会って5年を迎えようとしている。
寄り添いながら歩んできた月日が育んだ愛情の深さと確かさは、
誰の目にも映った。
世界中の人々の目に。
純粋な愛。
それは戦争によって疲弊し希望の芽を摘まれてきた世界にとって、
懐かしくあたたかい光であった。
光は確かにある。
信じることの源と、突き動かす力を示していた。