「ここにいる私たちに敗者はいない。
何故ならば、己の正義を貫き、
自由を得たからだ。
そして私たちに勝者はいない。
何故ならば、私たちは憎しみと悲しみの波を立て、
大切なものを傷つけ、亡くしたからだ。
だから私たちはそのものたちへの償いとして、
永久の平和を誓い、
平和を実現するための現実的な行動に務めなければならない。」
C.E.73年に勃発した戦争の終結と平和構築を宣言する議場においてなされた
オーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハの演説を端緒として、
各国の協力のもと平和実現への組織作りが進められた。
プラント・オーブ両国からの提案により、
国際機構U2(United Universe)内部に
平和構築のために横断的に活動するUO(Universal Organization)である
EPU(for Eternal Peace of
Universe)が組織された。
各国の出資や個人の寄付金により建設されたコロニー・ウイングに本部を設置し、
EPU理事会のもとに各委員会と軍を組織した。
先の戦争にかけて中立的立場にあった戦艦エターナルと
フリーダム・ジャスティスの両MBは プラントよりEPUへ正式に受け渡され、
オーブからはアークエンジェルが寄贈された。
EPUは、性別、宗教、人種、つまりナチュラル・コーディネーターを問わず任用された者により、
自国の国益を越え地球を含めた宇宙の平和を実現することを使命として
その活動を開始した。
73年戦争終結後の2年間は
後に「復興と信頼の2年」と言い伝えられるように、
2度にわたる戦争で荒廃した国々は着実に復興を遂げていった。
その背景には、EPU設立過程に表れているように、
2大国としての地位についたプラント・オーブ間の恒久なる安定への確信があった。
プラントの新議長となったラクス・クラインと
オーブ代表のカガリ・ユラ・アスハとの間にある友情と信頼の深さは
誰の目にも明らかであった。
共に平和な世界を描く姿は、
人々の希望の光となり
歩むべきその先を示しているかのように思われた。
いつしか、平和を希求し互いに手を伸ばしあう姿から、
ラクスは宇宙の女神と、
カガリは地の女神と、
比喩されるようになった。
宇宙からの歌と、
地球からの風。
平和への願いは、国を越えて広がっていた。
あの時は、確かに。